台湾への出張なら、東京からJAL(日本航空)の直行便で台北へ。普通なら、まずそう考えるでしょう。
ところがJALの航空券を調べていたところ、少し意外なことに気づきました。
東京から台北へ直接飛ぶより、東京→那覇→台北とJALグループを乗り継いだ方が、運賃がかなり安くなるケースがあるのです。
しかも少し予約方法を工夫すると、帰国途中に那覇でほぼ丸1日滞在する旅程まで組むことができました。海外出張の航空券として、これはなかなか面白いと思いますので、皆様にご紹介します。
JTAの那覇―台北線が1日2往復に
日本トランスオーシャン航空(JTA)は2026年2月、同社初の国際線定期便として那覇―台北(桃園)線を開設しました。
9月24日以降には一部日程で2便目を運航し、10月25日からは朝・夕の1日2往復体制になります。那覇発は8時台と17時台、台北発は10時台と19時台となり、那覇乗り継ぎの国内線との組み合わせもかなりしやすくなります。(出典:JTA・RAC、2026年度下期路線便数計画を決定)
JTAはJALグループですので、日本本土から那覇までのJAL・JTA国内線と、那覇―台北のJTA国際線を組み合わせた、一連の航空券を購入できます。興味を持った私は、実際にJALのWebサイトで調べてみました。
東京~台北:直行便114,650円、那覇経由91,870円
2026年8月24日に、東京を10月26日に出発し、10月31日に東京へ戻る往復の旅程で検索したところ、エコノミークラスでの結果は次のようになりました。
| 旅程 | 運賃 | 税金・燃油等 | 合計 |
| 成田―台北(桃園) 直行便(最安値) | 71,000円 | 43,650円 | 114,650円 |
| 羽田―那覇―台北(桃園)那覇経由便 | 68,000円 | 23,870円 | 91,870円 |
直行便と那覇経由便の差額は、22,780円、大幅に安くなりました。

(画像:東京(成田)~台北(桃園)の航空運賃検索結果、JALウェブサイトより引用)

(画像:東京(羽田)~那覇~台北(桃園)の航空運賃検索結果、JALウェブサイトより引用)
ただし、二つの旅程は完全に同じではありません。直行便では10月31日に台北を出発しますが、那覇経由では10月30日に台北を出発し、
10月30日 12:50 那覇着
↓
10月31日 12:15 那覇発
という旅程にしています。
つまり、台北での宿泊を一泊減らす代わりに、帰国途中に那覇で23時間25分滞在するわけです。言い換えれば、
「台湾出張+沖縄約1日」を一つの航空券に組み込んでも、JALの台北直行便より2万円以上安かったということになります。
なお、ほぼ同条件での羽田―台北(松山)の直行便は、成田―台北(桃園)の直行便よりさらに高い運賃が表示されました。
普通に検索しただけでは、この旅程は出てこない
JALの通常の往復検索でも那覇経由便は表示されますが、基本的には那覇で効率よく接続する便が案内されます。それでは、せっかく沖縄を経由しても空港で乗り換えるだけで、積極的に経由便を選ぶだけの意味があるとは言えません。
そこで今回使ったのが、JAL国際線サイトの「複数都市(自由旅程)」検索でした。今回実際に試したのは、
- 東京→那覇
- 那覇→台北
- 台北→那覇
- 那覇→東京
と区間を分け、3.台北→那覇と4.那覇→東京の間の乗り継ぎ時間を24時間以内に収めながら、できるだけ長く那覇に滞在できる便を選択する方法です。
その結果、23時間25分という、ほぼ丸一日の那覇滞在を組み込んだ旅程を組むことができました。こうすると、実質的には沖縄に一泊できるだけの時間があります。
大阪なら「伊丹から台湾出張」も可能
大阪発でも面白い使い方があります。
同様の日程で大阪台北往復運賃を検索したところ、
伊丹→那覇→台北
という旅程が表示され、往復総額は75,150円でした。

(画像:大阪(伊丹)~那覇~台北(桃園)の航空運賃検索結果、JALウェブサイトより引用)
大阪から台北への海外出張というと、関西国際空港を使うイメージがありますが、那覇を経由すれば、伊丹からJALグループ便で台北へ向かう旅程も組むことができます。大阪市内や北摂方面の企業にとっては、関空までの移動時間や交通費まで考えると、伊丹発のメリットは無視できません。ドアツードアで出張を見ると、那覇経由にする積極的な理由が見えてきます。
なぜ、飛行機に多く乗るのに安いのか、その理由とは?
なぜ那覇経由だと安くなるのか?今回の金額を分解すると、理由もかなり見えてきます。まず大きいのが燃油特別付加運賃(燃油サーチャージ)です。
2026年8月発券分では、JAL/JTAの燃油特別付加運賃は、本土―台湾など東アジア線が片道 16,900円なのに対し、沖縄―台北・高雄線は片道 7,400円となっています。往復では、33,800円 → 14,800円となり、これだけで19,000円の差です。
さらに空港施設使用料にも差があります。
成田空港第1・2ターミナルから国際線で出発する場合、PSFCとPSSCは合計3,160円です。一方、那覇空港の国際線PSFCは1,000円、国内線は出発・到着それぞれ240円です。羽田空港の国内線PSFCは出発・到着それぞれ450円です。
今回の那覇経由なら、日本側の施設使用料は、
羽田出発450円+那覇国内線到着240円+那覇国際線出発1,000円+那覇国内線出発240円+羽田到着450円で2,380円。
成田直行便の3,160円との差は780円です。
そして実際の検索結果でも、「税金・燃油特別付加運賃など」の差額は、
43,650円-23,870円=19,780円
でした。これは、燃油サーチャージの差19,000円+日本側空港施設使用料の差780円とちょうど一致します。
今回のケースで那覇経由が安くなった理由は、かなり明確です。加えて航空運賃そのものも71,000円から68,000円へ3,000円安くなっており、合計22,780円の差となっています。(もちろん航空運賃や燃油サーチャージは発券時期や空席状況で変動するため、常にこの差額になるわけではありません。)
しかも、JALのマイルもかなり貯まる
もう一つ、JALマイレージバンク会員なら見逃せないメリットがあります。
那覇経由にすると、搭乗区間が増える分、今回の運賃では積算マイルも大幅に増えました。
実際に今回の検索画面に表示された積算マイルを比べると、以下のようになりました。
成田―台北の直行便
- 東京→台北:665マイル
- 台北→東京:399マイル
- 合計:1,064マイル
これに対して、羽田―那覇―台北―那覇―羽田では
- 羽田→那覇:984マイル
- 那覇→台北:278マイル
- 台北→那覇:278マイル
- 那覇→羽田:984マイル
- 合計:2,524マイル
となりました。
つまり今回検索した航空券では、那覇経由の方が航空券代は22,780円安いにもかかわらず、積算マイルは直行便の約2.4倍です。「安い航空券だからマイルも少ない」というわけではなく、
+航空券は2万円以上安い
+沖縄にほぼ1日滞在できる
+マイルも多く貯まる
というメリットの多い結果になりました。もちろん、積算マイルは予約クラスや運賃によって変わるため、那覇経由なら常にこの差になるわけではありません。
ただ、JALを頻繁に利用するビジネスパーソンにとっては、航空券の価格だけでなく、獲得できるマイルまで含めて比較する価値がありそうです。
帰国途中の23時間を「沖縄でのビジネスに、リフレッシュに」
では、那覇で23時間あったら何をするか。もちろん一泊して沖縄料理と泡盛を楽しむだけでも構いません。しかし、ビジネスに関わる方、特に海外ビジネスに興味のある方なら、もう少し面白い使い方があります。
観光需要、インバウンド観光で盛り上がる、沖縄経済の観察です。
日本経済新聞の報道では「2025年度の沖縄の観光収入、初の1兆円超え 観光客数10%増」と報じられており、沖縄の観光市場が堅調なことが報じられています。また、日本経済新聞の別の報道では「外国人客は28.4%増の294万人で18年度の300万人には届かなかった。」と報じられており、順調に外国人観光客数も回復していることが伺えま羽。
那覇空港から中心市街地までは非常に近く、観光客の多い国際通りや牧志周辺へは短時間で移動できます。
実際に、国際通りや牧志公設市場周辺を歩けば、
どんな店に観光客が集まっているのか、何を買っているのか、どんな飲食店に行列しているのか…。といったことを自分の目で見ることができます。私の体感ですが、外国人観光客の消費意欲は沖縄でも大変強いなと感じています。(ちなみに私は、通勤途中にほぼ毎日国際通り周辺を歩いて、顧客観察をしています。)
つまり、午前は台北にいて、午後から那覇で観光産業とインバウンド観光の現場を観察、その日の夜、又は翌日に東京に帰る。
海外市場とインバウンド市場を、同じ出張の中で連続して観察できるわけです。商品開発、観光、飲食、小売、海外展開に関わる企業にとっては、単なる乗り継ぎ以上の価値があるのではないでしょうか。
那覇経由が変える海外出張 ~「直行便が一番」とは限らない
海外出張では、どうしても「直行便=最も効率的」と考えがちです。もちろん時間だけを考えれば直行便が有利です。しかし今回のように、
「航空券が2万円以上安くなり、そのうえ沖縄にほぼ1日滞在できる」
のであれば、話は少し変わってくるのではないでしょうか。例えば、
● 台湾で商談を行い、帰国途中に沖縄で取引先と会う。
● インバウンド市場を視察してから東京や大阪へ戻る。
● もちろん、沖縄の海と風に癒されてから帰るのもあり。
JTAの那覇―台北線が1日2往復になることで、こうした出張の組み方はこれまで以上に現実的になります。
台北出張を予定している方は、JALで航空券を検索するとき、
直行便だけでなく「那覇経由」も調べてみる。
さらに時間に余裕があるなら、
「複数都市検索」で那覇滞在を組み込めないか試してみる。
思わぬ運賃と、もう一つのビジネス機会が見つかるかもしれません。そして、仕事が終わった後には、沖縄料理と泡盛を楽しみ、沖縄の海と風に癒されてから帰る。それも那覇経由の大きなメリットです。費用も安くなるなら、社長も経理も文句は言わないでしょう(笑)
(余談ですが、JTAさんが那覇―香港線にも就航すると、香港でキャセイパシフィック航空をはじめとする、JALグループが加盟するワンワールドのネットワークにも接続でき、那覇経由の海外出張はさらに便利になりそうです。今回調べてみて、沖縄在住者や台湾からインバウンド観光需要だけでなく、日本本土各地から那覇を経由するビジネス需要も意外にあるのでは?と感じました。那覇が「南の国際ハブ」になることを切に期待しています。JTAさん、次はぜひ香港を! )
【ご注意】
※ 日本航空の公式サイトでは、24時間以内の乗り継ぎについては「区間を分けずに検索」するよう案内されており、乗り継ぎ都市を複数都市検索の到着地として指定しないよう注意書きがあります。一方、筆者が2026年8月24日に実際に検索したところ、本文で紹介した方法でも上記の旅程・運賃が表示され、予約内容確認から支払い手続きまで進むことができたことを申し添えます。
※ 本記事は、2026年8月24日時点で筆者が実際に確認した検索結果をご紹介するものであり、同様の旅程・運賃が常に表示されることを保証するものではありません。日本航空グループ Webサイトの仕様、空席状況、運賃規則等によって検索結果が異なる可能性がありますので、実際の予約時には表示される旅程・運賃・適用条件をご確認ください。
